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  • 執筆者の写真宮崎県立芸術劇場

東風さんインタビュー

 『幻視』の主演を務める東風さんにお話を伺いました!東風さんはドラマ・映画・舞台と幅広く活躍されており、近年ではドラマ『まんぷく』『メゾン・ド・ポリス』などに出演されています。今作では、子どもを亡くした女性・歌織を演じます。

宮崎での滞在制作も約1ヶ月経ちましたが、宮崎はいかがですか。

 チラシ用の写真撮影の時が初宮崎で、そのときの印象と変わらず素敵なところですね。宮崎は何食べても美味しくて、中でも一番好きになったのは、きんかんです。今までは、料理に味付けや風味付けで入っているのを食べたりするぐらいで、わざわざ買って食べるということもなかったんですけど、こんなにおいしいんだってびっくりして、毎日のように食べてますね。体にいいものを食べている、そう感じます。ちなみに、稽古場にあった差し入れのきんかんをほとんど食べたのは私です(笑)。


宮崎の人の印象について

 みんなめっちゃいい人ですね、優しくて。先日、「U-doki」に出演させていただいたときも、テレビ局の方々がいろいろとケアしてくださって。アナウンサーの方々が、リハーサルから気さくに話しかけてくださったので、本番でもリラックスして楽しく話すことができましたし、放送終了後も思わず長話してしまいました(笑)。毎日、宮崎の人の優しさにおどろいていますね。


先日、UMK「U-doki」に中野弥生さんと生出演していただきました♪

座組について

 とても楽しいですね。この作品は家族の話なので、座組全体が家族になっていく感じがしていてすごくうれしかったし、今となっては居心地がよくて、ありがたいです、みんなにありがたい。感謝しかないです。


先日、方言指導の河内さんが、東風さんのことを「すごい!」とおっしゃっていましたが、宮崎弁はいかがですか。

 そうなんですか?そんなこと私には言ってくれてないですよー!直接言ってくれればいいのに!(笑)けれども、そう言ってもらえるのはとてもうれしいです。(方言は)聞いて覚えるのが一番なので、稽古から帰ったらひたすら聞いて練習していました。ただ、セリフに気持ちを乗せようとすると、覚えた音にブレが出てきて、それが正解か不正解かも自分では分からなくて、すごく歯がゆい時期がありましたね。やってもやってもうまくいかない、自転車になかなか乗れない感じ(笑)。

 気持ちをつくる深みを増やそうとしていたので、心の動きや表現の部分とか、幅広い表現方法を探していたんですね。それにセリフを覚えて、方言を覚えて、自分の位置とかをなじませていく。やっとなじんできたかなと思ったら先週小屋入りになって、今度は照明とか空間、声の聞こえ方など要素が増えたので、ずーっと頭の中がテンパってます (笑)。「あれ?これどうだっけ?」みたいな。そんな中で、もちろん不安はあるけれど、方言に関してはなじんできてるっていう言葉をいただいて、ひろみさんからも深みが出てきているとおっしゃってくださっているので、それを信じてやっています。


立山さんの演出について

 最初にお会いしたときに、演出の仕方について段階を踏んで作っていくというようなことを説明してくださって、とっても丁寧でありがたいなって思いました。お話を聞いて、ひろみさんの方法でぜひやってみたいって思いました。稽古場では丁寧に説明してくださるし、チャレンジもさせてくださって、ダメな部分はダメってちゃんと言ってくださるし、ありがたいです。一緒に作品づくりをしているってすごく感じますね。

歌織について

 誤解を恐れずに言うと、とても普通の女性でありたいと思って演じている、というのが一番近いですね。歌織の個性というよりも、心の部分が届いてほしいなって。

 歌織はこれまで生きてきて、子どもを亡くした傷、そしてそれ以外にも劇中に描かれていない心の傷がたくさんあって、弱そうな人に見える。けれども、彼女は周りの人を気遣い、周りから影響を受けて、心が少しずつ癒やされていく人なので、決して弱いだけじゃなく強さもあるのだと思います。そういう変化を見せること、歌織を通して伝えていくことが、この作品のような気がしています。


稽古を拝見していて、歌織は感情の幅がすごく広いなと感じましたが、演じる難しさはありますか。

 難しいー!(笑)。こういう人、こういう役割っていうのが分かりやすければ、つかみやすい所もあると思うんですけど、歌織は「これが歌織!」という個性が強くあるわけではないので。稽古でもその日の流れを大切にしているので、こうやろうと思ってもそうならないことも多々あるし、気持ちの流れで今日はこうなったとか、すごい泣いてしまったとかってこともあるので、難しいです。どれが一番いいかなって、最後までひろみさんと調整していってます。

 ひろみさんと、「歌織がこの気持ちだけど、(それに対して)一番明るい表現と一番暗い表現でやってみる」ってことにトライしていたんですね。心の傷を抱える歌織が、どうしても暗い印象になってしまうのは分かりきっているので、一度なるべく明るい表現で作ってみようって。小屋入り前までは、あまり暗い芝居にならないように、なるべく明るめの表現にトライしていて、小屋入りしてから暗い表現に戻してみようって。なかなか心と体が追いつかない部分もありましたけど、そういうことを通して役に深みが出てきているんじゃないかなと思っています。

シライさんの描く『幻視』について

 言葉のリズムとか多くを語らない感じとか……かっこよくて、おしゃれで、粋で、もうずるいですね(笑)。脚本の中ではっきり色を見せてくれた方が、もちろん楽な部分はありますが、分からないということも粋・おしゃれというか、それに心を奪われて「シライさん、にくいな」って(笑)。これが“シライワールド”なのかなって。多くを語らないけど、たくさん伝わる作品、って感じですね。

 自分とは境遇が違う登場人物たちに、思わず自分を重ねてしまうんです。境遇は違っても、悲しみとかの気持ちは分かるじゃないですか。そういう部分で、誰もが分かるようになっていく感じで、ずるくて、にくくて、かっこいいですよね。


最後にお客様にメッセージをお願いします。

 可能であれば、何回でも観てほしいです。一度観て分かったからこそ、もう一度観て分かることもあったりして、そういうのが伝われば良いなって思います。

 家族の物語なので、誰に共感するというわけではなく、いろんな気持ちが分かると思うんですよね。歌織をはじめ、旦那の岳史、お姉ちゃんの詩織、お姉ちゃんの旦那さん航太郎、謎の青年。優(詩織・航太郎の息子)とかも、生意気だけどすごく優しい部分が、短いシーンですごく描かれていたりして(笑)。みんなの思いがつまった作品なので、それが届いたら、それを感じていただければと思います。


東風さん、ありがとうございました!

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当日券について

「新 かぼちゃといもがら物語」#4『幻視~神の住む町』は、2月26日(水)から3月1日(日)の5日間、当劇場イベントホールにて上演します。当日券は、午前10時からチケットセンター(0985-28-7766)で予約・販売、開場時間の30分前からはイベントホール入口横でも販売をいたします。なお、開場の30分前から同じくイベントホール入口横にて入場整理券を配布いたします。 26日(水)は当劇場の他ホール

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