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  • 執筆者の写真宮崎県立芸術劇場

河内さんインタビュー

 出演者でありながら、方言指導も務める河内哲二郎さんにお話を伺いました!河内さんは、宮崎出身の俳優で、現在は東京を拠点に活動されています。今作では、中野弥生さんが演じる詩織の旦那・航太郎を演じます。

航太郎を演じて感じること

 航太郎はいわゆる“おっさん”なので、親父ギャグ的なのが……僕はまだペーペーなんで(笑)。いつまで経ってもペーペー感が抜けないんですよ、恥ずかしくなっちゃうんですよね。若いつもりってわけじゃないんだけど、まだまだ親父ギャグを言う歳でもないなって。照れますよね、親父ギャグ(苦笑)。

 航太郎と歳は近いけど、演じるとなると難しいですね。僕が宮崎にいたのは高校までで、それまでに接した宮崎の年上の人って、学校の先生のイメージが強いんですけど、そのほとんどが今の僕よりも若い。この前、教師をしている高校の同級生と飲んでいたら、彼の教え子が声をかけてきて。その教え子も20代半ばですでに社会人。そう思うと、もうそんな歳なんだなって。宮崎の“おっさん”にあまり触れてこなかったんだなって思いますね。


出演しながらの方言指導について

 出演していると役者の呼吸とかが分かって指導しやすいですね。方言指導には段階があるんですよ、覚えておしまい、というわけにはいかない。まずイントネーションを覚える、そしてそれに気持ちを乗せるとブレが生じてくる。このブレをどう扱うか、ですね。多少ブレてもいいけど、それ以上ブレるとダメとかあるし、より気持ちをのっけるために、言葉のどこに力点を置くか、といったようなことまで考える。そういう段階までいくと、言葉が生きてくるんですよね。それを舞台上で、お客さんの前で演じなければいけないので、演劇の方言指導はなかなか大変ですね。


河内さんと中野弥生さんは、宮崎南高等学校の同級生。初共演で夫婦を演じる二人。

今回のキャストの方言はいかがですか。

 相当いいです。中でも、東風さんがすごいですね。セリフの量も多いし、感情的にもかなり幅があるので、一番大変だと思います。

 方言って、どれだけその人が自分で取り組んでいるのかが、はっきり分かってしまうんです。方言指導するとき、セリフを録音して皆さんに音源をお渡ししているんですね。今回の役者さんたちは、音源を繰り返し聴いてすごい練習しているなって感じます。東風さんとか、ものすごい繰り返し聴いてやっている。ブレもなくなっていて、すごいなって思います。

 全体的にすごくいい感じに仕上がってきていると思います。宮崎弁でしゃべることで、作品に深みがでてきている。方言でしゃべることで、土地の色がついたというだけでなく、作家の想像を超えた舞台になったらいいなって思います。そして、そういう段階までいけるんじゃないかと。


宮崎弁が入ることで、作品の印象ががらりと変わりますよね。

 立体感が生まれますよね。一番面白かったのは、稽古初日の時。例年、みんな初見で宮崎弁の台本の読み合わせをするんだけど、今回は標準語版と宮崎弁版の両方を聞いてみたいと思って、提案してやってみたんです。そしたら、これが面白かった。弥生さんや僕は、普段宮崎弁だけで役者をやっているわけではないけれど、標準語でしゃべるとふわふわした感じになる。けれども、宮崎弁版になると急に勢いがついて、水を得た魚のようになる。ほかの役者さんは、標準語でやった時に会場ですすり泣きが聞こえてくるほど乗っていた気持ちが、宮崎弁になったとたん乗らなくなって。標準語と、宮崎弁の間に距離が出来ていた。今はその距離が埋まっていっていると思います。

あらためて、河内さんにとって『幻視』はどんな作品ですか。

 フィクションとノンフィクションの間をいっているなと。脚本を手掛けたシライさんは、宮崎の人の感じとか景色とかを、良い意味で掘り下げていないんです。ぱっと見た時の宮崎、そこからイメージをぶわっと膨らませて、リアルな宮崎というより外から見たときの、宮崎が持っているすごく幻想的な部分を描いている。それは、宮崎の人は普段それほど意識していないところなんですよね。その幻想的な部分と、リアルな感じが作中に両方ある、それをすごく感じますね。芝居の中で現実と非現実があいまいになっていて、現実と芝居も良い具合に溶け合っていて、「これ現実なのかな?」と思ってしまう、そういう“ゆらぎ”がある。“パラレル宮崎”みたいな(笑)。

 観てくださるお客様にどう感じてもらえるかは分からないし、感じ方次第だとは思いますけど、宮崎で生きている方々に、「あれ?宮崎ってそんなところ?」って感じてもらえたら面白いなって思います。


河内さん、ありがとうございました!


現地視察の一コマ。大のカープファンの河内さん。帽子にカープ坊やの缶バッジ♪


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